気になった軍事関連の話

http://d.hatena.ne.jp/claw/20051115
ここのコメントで気になったこと。

# みや 『
よりにもよって前田哲男ですか…(’A`)
あのー、太字で強調しているところですが、そもそもF2にはパイロンの構造上4トンまでしか積めません。
さらに、基本的なことなのですが、「航続距離」とは、ミサイルや爆弾等の武装の変わりに燃料を限界まで搭載して経済高度を経済飛行した時の数字で、
>つまりテポドンの8倍の爆薬を積むことができて、平壌まで行って帰ってくることができるんです。
というのはこのF-2の航続距離(4000km)から算出したものと思われます。
一方、対地攻撃用の武装を積み、燃料バカ食いするような戦闘機動をして,帰って来ることが出来る距離が「戦闘行動半径」で、F-2のそれはASMを4発抱いての対艦攻撃ミッションで450nm(海里)=830km。そして北朝鮮に最も近い航空自衛隊基地がある小松(石川県)から各目標(日本の直接的脅威となっている蘆洞(ノドン),徳城(トクソン),文川(ムンチョン)のノドン・ミサイル施設〕までは,およそ800kmであり、「F-2で北朝鮮を爆撃」などというのは机上の空論であることがよく理解できると思います。
そもそも自衛隊専守防衛政策のもと、日本へ侵攻してくる敵軍を叩くためだけの最低限の戦力しか整えてきていませんし、他国領土を爆撃するだけの対地兵装も訓練も存在しません。
そんな最低限の知識すらもたない前田哲男氏のような「軍事評論家」の信頼度などは、押して知るべし、です。』

# Yato 『戦闘機を落とすためには戦闘機だけではなく、対空ミサイルもあると思うのですが。
そのへんはどうでしょうか。>ほほうさん

みやさんのいうとおりそもそも不可能な話なので考える必要もないかもしれませんが。

ただし、弾道ミサイルは飛んでこれますけどね』

# バカバカし 『
自衛隊は爆撃能力を有さない」というのはちょっと軍事をかじった人間なら誰でも知ってる常識なんだけど。
コメントをつけずにコピペだけしたのは、「これは俺の意見じゃない」って言い訳できるようにかな? でも、一体何の意図でこんな素人以下の発言をコピペしたのかな?
「日本を直接攻めてくることはありえない」って、威嚇行為は言うに及ばず、直接日本を攻めて来ずとも、シーレーンを封鎖されたら資源を持たない日本は再び太平洋戦争の状況へまっしぐらだぜ? あ、そうか。九郎たんは再び日本を戦争に追いやりたいんだ。なるほどなぁ。
*も相変わらずお間抜けな発言してるね。「脅威を必要としてる」って言葉、そっくりそのままお返しするよ。お前さんたちこそ、「米国の脅威」を必要としてるだろ。「自分たちはマヌケな民衆より真実を見通してるのだ!」って矮小な優越感のためにw』

# lyrical_q 『九条ちゃんとやらに自信があるんだったら、以下のところに乗り込んでみてはどう?w
法律を萌えキャラ化 第3条
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1122572937/l50
ま、大言を吐いたのに反して、シンパのお追従抜きに萌えさせる自信がないんだったら無理にとは言わないけどねw』

# artane 『>自衛隊は爆撃能力を有さない」というのはちょっと軍事をかじった人間なら誰でも知ってる常識なんだけど。

じゃぁ、なんでGPS誘導のJDAMの大量調達を始めたのですか?
専守防衛を今後も守っていくのならば、敵の橋頭堡をたたく位しか使い道ない代物ですよ。
敵領内への侵攻ミッションが考えになければ、あまり意味のないアイテムなのですが…JM117に赤外線誘導装置とかレーザー誘導装置をつけた場合のように艦船向きの代物ではないのですが。』

# ふ〜ん 『
長距離射程のミサイル網をF-2が華麗にかわして爆撃!
と夢想してるわけですね、サヨクたんは。
兵器は単独運用するものではないということもご存知内容で。』

# みや 『
>JDAM
「目」があっても「手」や「足」が無ければどうしようもありません。繰り返しますが、自衛隊には他国領土を爆撃するだけの対地兵装も訓練も存在しません。敵の基地や滑走路・レーダーサイトなどを破壊する能力は皆無といっていいでしょう。
現在の航空自衛隊には移動目標を発見し、攻撃機をそれに対応させる能力はありませんが、これは他国に侵入して移動発射機を攻撃することを想定していないからです。よってJDAMの導入は自衛隊にとってベストな選択であるといえます。』

# 『
半端に緒元をかじって一撃粉砕されたartaneの反論マダー?
涙を目にためながら「日本は爆撃ができるハズだ!」と一生懸命数字遊びしてるのかな?
謝罪しろとは言わないが、いい加減なことを書いた訂正もなしか。デマを広げてそれがばれても知らん顔は、クロウやartaneたち、頭の毛の三本足りないサヨクの定番行動パターンだな。』

まあ、確かに現状では自衛隊は完全な侵攻爆撃能力を持ちません。
しかし、現在、自衛隊は対北朝鮮侵攻爆撃能力獲得に向けて装備を整えています。
北朝鮮への侵攻爆撃には自衛隊側の航続距離と精密爆撃能力と北朝鮮側の対空ミサイル攻撃が問題となりますが、航続距離は空中給油機で、精密爆撃能力はGPS誘導JDAMで、対空ミサイルは電子戦機で問題解決可能です。
空中給油機とJDAMの調達については公開されている通り。電子戦機は2005年度からの開発着手が確定しています。
つまり、近い将来、自衛隊は敵基地攻撃可能な侵攻爆撃能力を獲得するということです。
この辺のことは現代軍事戦略系の軍事オタクであれば知らないと恥なことと思います。(そういう私はどちらかというと戦史オタク)
濃い軍事オタクには物足りない本ですが「闘えない軍隊 肥大化する自衛隊の苦悶」(著者:半田滋 出版社:講談社)のP56-57を参照するといいでしょう。

不毛な言葉遊び

昨今、白燐弾が煙幕弾か焼夷弾か通常兵器か化学兵器かということが話題になっていますが、言葉遊びにすぎないと思います。
兵器が設計上の目的と異なる目的に使用されることは良くあること。
飛行機を墜とすための高射砲も水平撃ちすれば対戦車砲
対人使用が反則な筈の重機関銃や機関砲が対人使用されないということもありませんし、その手の弾丸を使用するために対人狙撃銃と名乗れないアンチマテリアルライフルが対人狙撃に用いられないということもありません。
兵器でないものの、例えば夜空に鮮やかな花を咲かす日本の花火も地上で誤爆すれば多数の死傷者がでることでしょう。
同じように、煙幕弾として用いられる白燐弾も相手に直撃させる形で使用すれば白燐の燃焼と化学反応(燃焼も化学反応の一種ですけどね)で相手を焼く焼夷弾
それがどのような形の死をもたらすかは多数の画像が物語る通りです。
「本来は煙幕弾であり通常兵器だ」という意見と「焼夷弾として使用されており白燐の化学特性から化学兵器だ」という意見の対立に私は意味を見出せません。
ただ言えることは、煙幕弾であろうが照明弾であろうが直撃させる形で使用すれば人を殺せますし、あのような形で生きながら焼かれるのは苦しみの多い死に方の一つということです。そして、それを「残酷」とか「人道に反する」とか感じるかは受け取る人間の心次第。(私にしてみれば通常兵器のナパーム弾もその「残酷」性に大した違いはありません。燃料気化爆弾だって空気中の酸素を燃やしつくし影響範囲内の人を窒息死させるわけで、その効果は「化学兵器」的です。通常兵器であっても大量の不発弾が「対人地雷」とかすクラスター爆弾の使用や玩具の形をしている子供を障害者にすることを目的とした対人地雷の使用は非人道的といえるでしょう。NBC兵器だから非人道的なのではなく、その性質上無差別殺戮兵器であるからNBC兵器は非人道的な兵器とされるのです。そして何が非人道的かを決めるのは人間。為すべきはNBC兵器か通常兵器かといった定義の問題で不毛な論争をすることではなく、ありのままの事実を示すことでその非人道性を示すことというものです。でなければ「非人道的通常兵器」による被害はなくならないでしょう。対人地雷禁止条約や特定通常兵器条約の例は通常兵器であっても非人道的なものは規制可能であることを示しています)
どのように言葉を弄ぼうと、米軍がイラクファルージャ白燐弾焼夷弾として使用した事実は変わりませんし、その結果、女子供を含む数知れぬ人々が死んだという事実も変わりません。
米軍の「ザルカウィ一派の殲滅」という作戦目標がまったく達成されていないという事実も変わりません。作戦の結果、ファルージャが廃墟とかしたという事実も変わりません。
侵略した側の人間が侵略された側の人間を虐殺したという事実に変わりありません。
米軍のファルージャ攻撃は都市無差別攻撃であったわけで、少なくとも過去の歴史における都市無差別攻撃と同程度には戦争犯罪であることに変わりありません。
第二次世界大戦において米軍による原爆使用と戦略爆撃による都市無差別攻撃を体験した日本。
その日本がこんな言葉遊びに終始していては犠牲となった人々も浮かばれないことでしょう。

追記

この記事は当時の私の無知による事実誤認が数多く含まれています。
あまりにもひどい部分については修正・削除しました。