消費税と輸出戻し税

輸出戻し税に関する記事を書こうと思っていたのですが、非常に分かり易い記事*1を見つけたので中止。
ニラ茶でわかる消費税のからくり - 非国民通信
そんなわけで、消費税に関して資料を交えて雑感を。

05年分、輸出上位10社の輸出戻し税と還付金の試算

会社名 総売上高 内輸出売上高 輸出戻し税 国内売り上げに対し納税すべき消費税 差引還付税額
トヨタ自動車 101918 65125 2665 374 2291
日産自動車 38955 29294 1266 68 1198
本田技研工業 37570 25519 1072 108 964
ソニー 31795 22574 1152 26 1126
松下電器産業 44725 19232 822 206 616
キヤノン 24814 19156 837 64 773
東芝 32574 15310 659 133 526
マツダ 20321 14143 649 28 621
日立製作所 27133 10446 443 136 307
三菱重工業 22067 9687 409 104 305
合計 9974 1247 8727

日本の国民所得はドイツ、イギリス、デンマークの3カ国の合計値に匹敵します。人口はドイツの1.55倍で、国民所得はドイツの1.91倍なのに、社会保障給付費は0.65倍です。

格差社会を是正する共同闘争実行委員会」(兵庫労連内)より


消費税は税率が高ければ高いほど輸出業者への還付金が増える税制*2。ある意味、国民全体から集めた消費税の一部を「輸出業者への補助金」にする税制。経団連が消費税増税企業減税を主張するわけです。*3

消費税の嘘

「誰もが公平に負担する税」という嘘

消費税の売りの一つに「誰もが公平に負担する税」というのがありました。
それに同調する人は「脱税犯のような犯罪者からも徴収できる良い税ではないか」といったような主張をしていました。
しかし、現実は輸出戻し税のように輸出業者が還付金で相対的に潤う*4輸出業者に有利な不公平な税制です。

社会保障財源のための税」という嘘

消費税が導入される際、社会保障財源を確保するために導入する税であるかのようにマスコミでは報道されていました。
しかし、現実は一般財源。しかも、今では後の高所得者減税・大企業減税による税収減と相殺する形の財源になっています。*5
消費税はトータルでは所得再分配の低下のために働いているわけです。国民を納得させるために段階を置いた巧妙な高所得層から低中所得層への負担の付け替えといっても良いのではないでしょうか。
最近では法人税減税と消費税増税の抱き合わせを臆面も無く主張するなど、その意図を隠そうともしていません。経団連が今の国民をどう見ているか如実に表していますね。

*1:ただし、税込み価格に注意

*2:トータルでは免税により輸出には消費税がかからないという税制。仕入れに支払った消費税分が還付されることにより消費税を負担しないことになる

*3:消費税増税には中小企業が増税分を税込価格に反映できるかという問題も伴いますし

*4:輸出に関しては消費税を負担しないでいい

*5:せめて税制を消費税導入前に戻せと言いたくなります。