技術格差に対する合理的行動

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070120i202.htm
メッセージ

また、報告書は中国が全地球測位システム(GPS)衛星も標的にしていると指摘し、「50基の衛星に対して攻撃を仕掛けられた場合、米軍だけでなく米国の市民経済にも壊滅的な悪影響を及ぼすことになる」と予測した。
報告書は、中国が電波妨害や地上局の破壊などあらゆる手段を用いる恐れがあるとした上で、「中国当局は、米国にはどの国が攻撃してきたか実証する能力がないと踏んでいる」との見方を示している。

GPS衛星が破壊されたら日本も民間や自衛隊が悪影響を受けることは確実。自衛隊GPS誘導爆弾のようなGPSに依存する装備を導入しているわけですし。
解せないのは「中国当局は、米国にはどの国が攻撃してきたか実証する能力がないと踏んでいる」の部分。電波妨害や地上局の破壊は地上でもできる宇宙技術の無力化なわけですが、電波の発信源の探知は基本的な技術ですし、地上局の破壊にしてもどこから攻撃してきたか分かりそうなもの。正規戦ではなく潜入破壊工作のようなものを想定しているのかもしれませんが。*1
あるいは、その報告書では中国をそう見ているということかもしれませんけどね。
人工衛星破壊によって宇宙技術に依存するハイテク兵器を無力化することは、宇宙技術において大きく立ち遅れている中国にとって、アメリカとの技術的な軍事力差を縮める有効な手段。戦争や軍拡競争は人類の愚かな所業ですが、それを支配するルールにおいては合理的な行動と思います。倫理的にはアウトですが。

*1:他には「国籍不明」の衛星による電波妨害とか