第一次安倍内閣の2007年の閣議決定の欺瞞と嘘

第一次安倍内閣は2007年3月8日に提出された「安倍首相の「慰安婦」問題への認識に関する質問主意書」に対して2007年3月16日に答弁書閣議決定しています。
この閣議決定は日本のある種の人々の間で強制連行を否定したものとして知られています。
その実際の内容はどういうものだったでしょうか。

安倍首相は、辻元清美衆議院議員の質問に対して、2007年3月16日に答弁書(内閣衆質166第110号、下記資料を参照)を送付しています(内閣衆質166第110号)。この答弁書は、河野談話の発表までに「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」と述べています。

2-2 安倍政権と2007年の閣議決定 | Fight for Justice 日本軍「慰安婦」―忘却への抵抗・未来の責任

とあるように、この第1次安倍内閣閣議決定河野談話後の研究成果を反映しない欺瞞に満ちたものであり、スマラン事件の調査結果公表が既になされていたことを考えれば明らかな嘘でした。そして、現在では河野談話の資料に軍強制の記述が含まれていたことも明らかになっています。

戦時中、旧日本軍がインドネシアの捕虜収容所からオランダ人女性約35人を強制連行し、慰安婦としたとの記載がある公的な資料が6日までに、国立公文書館(東京)で市民団体に開示された。資料は軍の関与を認めた河野官房長官談話(1993年)の基となるもので、存在と内容の骨子は知られていたが、詳細な記述が明らかになるのは初めて。

http://www.47news.jp/47topics/e/246352.php

河野談話の資料には軍による強制連行を示す記述が含まれていたわけです。この事実を踏まえると答弁書の書きぶりのいやらしさが更に際立ちます。判決文や聞き取り調査などは「直接示すような記述」ではないということなのでしょうね。それは色々限定条件をつけなければ「狭義の強制の証拠はなかった」という結論を導けなかったということでもあるのでしょう。
この閣議決定5年前の歴史すら修正する従軍慰安婦否定論者 - 誰かの妄想・はてなブログ版でも言われているように河野談話の継承するものです。その範囲において強制連行に対して精一杯ケチをつけようという姿勢は、ある種の人々が妄想するような堂々としたものではなく、ひたすらせこいとしか言いようがないものだと思います。