白燐弾ガセビア「白燐弾の対人使用は国際法違反ではない」
ガセ
白燐弾の対人使用は戦時国際法違反という解釈が一般的であり、「白燐弾の対人使用は国際法違反ではない」というのはガセ。
国際法の解釈が人によりある程度変わるのは仕方がないとはいうものの、少なくとも「白燐弾の対人使用は国際法違反ではない」というのは現代では一般的な解釈ではないので、そういう解釈を吹聴するときは、その前に「独自な解釈では」とか「オラ解釈では」とかを付けた方がいいのではなんて思います。
牧師はジュネーヴ条約を引用して、わが国は正義の軍隊であって、神を助けて大義を実現せねばならないと論じた。だがこんな道徳論では、現実的な兵士たちにはたいして効き目はない。ジュネーヴ条約は却下され、過激な意見が飛び出した。「ジュネーヴ条約では、黄燐焼夷弾を軍に向けて発砲してはならないと定めているから、敵の装備に当たったと主張すればいい」と教官に教わったが、と若き砲兵は言う−「条約を出し抜く方法をこっちが考えつくぐらいだから、敵だって考えついてるはずですよ」。また別の兵士も口を開いて、「ロシアの捕虜になったら殺されるかもしれない。敵に同じ薬を盛ってなにがいけないんです」。牧師の「正義」や「神を助ける」ということばに対して、冷たい雨に濡れた兵士たちの考えは「正義は銃身から生まれる」、「歴史は勝者がつくる」のほうへ傾いていた。
<ジュネーヴ条約と黄燐焼夷弾>の話は、私もフォート・ベニングで聞いている。士官候補生学校での大砲の射角に関する講義でも、歩兵将校基本コースでも、レンジャー養成校でも、そして歩兵迫撃砲小隊将校コースでも聞かされた。捕虜の扱いについて述べたレンジャー養成校の教官は、自分の考えをはっきり伝えていたものだ。いわく、襲撃や待ち伏せの際には捕虜をとるものではないと。私の見るところ、レンジャー大隊出身の優秀な若い兵士たちは、大半がこのレンジャー養成校ばりの考えかたを身につけてくる。
戦争における「人殺し」の心理学より引用。
引用文が示すように、米軍は兵士に「白燐弾の対人使用は相手が軍人であろうとジュネーブ条約違反になること」を教えこんでいます。*1
The Russian parliament condemned today as 'absolutely unacceptable' the use last year by US forces in Iraq of toxic white phosphorus bombs, which it said was prohibited under international law.
http://www.forbes.com/business/feeds/afx/2005/11/23/afx2351931.html
'Deputies of the Duma consider the use, under cover of the noble aims of the fight against terrorism, of any type of weapon banned by international conventions, particularly phosphorus bombs, as absolutely unacceptable,' a statement adopted unanimously in the lower house read.
ロシア議会は本日「絶対に容認できない」として、昨年の米軍によるイラクでの毒性の白燐弾の国際法の下で禁止されている使用を非難しました。
「Duma(ロシア下院議会)代表は、テロとの戦いの崇高な目的の下であろうと、国際協定により禁止されたいかなるタイプの兵器、特に燐爆弾(白燐弾)の使用は絶対に容認できないものとみなします」という声明は下院で満場一致で採択されました。
というForbesの記事を読む限り、ロシアもイラクにおける米軍の白燐弾使用を国際法違反と非難。
White phosphorus is covered by Protocol III of the 1980 Convention on Conventional Weapons, which prohibits its use as an incendiary weapon against civilian populations or in air attacks against enemy forces in civilian areas.
BBC NEWS | Middle East | Q&A: White phosphorus
白燐は、民間人に対する焼夷兵器の使用や住宅地域の敵軍に対しての空襲における焼夷兵器の使用を禁じた通常兵器に対する1980年の会合の議定書IIIに含まれる。
国際法の一例、特定通常兵器使用禁止制限条約の概要(Convention on Certain Conventional Weapons:CCW) | 外務省の議定書III。アメリカは議定書IIIを批准していませんが、白燐が焼夷兵器に含まれると解釈されていることの一例として紹介。
関連情報へのリンク
ÎÕʼ´ï
チェルシー・ブラウン氏と益岡賢氏による白燐弾と国際法に関する説明。
(a)1907年の、陸戦の法規慣例に関する条約(ハーグ陸戦条約)およびその条約付属書、および(b)1977年のジュネーブ諸条約第一追加議定書のもとで、ファルージャにおける白燐兵器の使用は不法であると論ずることができる。
http://www6.ocn.ne.jp/~boogie/white_phosphorus_weapons.htm
masterlow氏による白燐弾報道に関するまとめ。
*1:黄燐焼夷弾はWhite Phosphorus bombつまり白燐弾の訳語の一つ