主張における二重基準

大量破壊兵器

ある人物が以下の主張を行なっていると仮定します。


A.北朝鮮に対する先制攻撃に反対。テポドン騒動で北朝鮮に先制攻撃を唱えるものはアメリカの評価を下げることを画策している何某の手先ではとか。
B.イラク戦争における先制攻撃に対しては賛成もしくは消極的支持。


AとBは二重基準です。(陰謀論レベルのわら人形論法に関しては略。ギャグならギャグと明記した方が笑えます)
アメリカがイラクに適用した大量破壊兵器を問題とした先制攻撃理論に基づいて考えれば北朝鮮が先制攻撃の対象国にならないのはおかしいからです。

大量破壊兵器 査察団を受け入れて調査させたイラク 生物・化学兵器の所持が確実視され、且つ核開発を公言する北朝鮮
運搬手段 査察団の言うままにミサイルを解体したイラク ロケットの開発を進める北朝鮮

拡散の危険性に関してはフセインとオサマの仲は険悪でフセイン政権とアルカイダを結びつけるような宣伝自体が無茶。
AとBで異なる基準で先制攻撃の可否を決めていることから、AとBは二重基準です。
この指摘は北朝鮮に対する先制攻撃を支持するものではありません。私自身は先制攻撃に反対です。
テポドン騒動で北朝鮮に対する先制攻撃を唱える人については、考えられる可能性の全てを列挙しませんが、脅威の排除に対して単純な考え方な人か、アメリカは北朝鮮に先制攻撃をしないと分かっている上でイラク戦争における先制攻撃を支持した人のダブルスタンダードぶりを露にするために高度な皮肉としてやっている人の可能性が高いのではと思います。

人権問題編

ある人物が以下の主張を行なっていると仮定します。


A.民衆が低人権警察国家から開放されたとしてイラク戦争を支持。
B.低人権警察国家北朝鮮の民衆に対しては差別的で冷淡な態度。


AとBは二重基準です。

人権 北朝鮮は世界でも最悪クラスの低人権国家 フセイン体制のイラクも低人権国家だが北朝鮮よりはまし

イラク戦争を「民衆を低人権国家による抑圧の下から解放したのだから良かったじゃないか」と正当化する人々は、北朝鮮の民衆に対しても抑圧の下からの解放を主張すべきです。低人権国家であれば民衆を開放するために軍事力で政府を倒しても良いというのであれば。
そうでなければ二重基準
少なくとも民衆に対して同情の念を示すべきというものでしょう。

二重基準は本音と建前の違いから

結論が最初からあってその結論を導くために後から理由をつけるような場合、二重基準に陥りやすくなります。
結論を導くにあたって本音の判断基準は別にあるのに正当化できる建前を判断基準として示しがちだからです。時間とともに判断基準が変化する場合などもあるので一概にそうとは断定できませんが。
二重基準はそれを行なう本人が自覚している場合も自覚していない場合もあります。
それゆえ自分自身の二重基準を確認することで自覚していなかった自分の本音を露にすることができる場合があります。