北朝鮮の論理

北朝鮮は実のところその行動原理は単純です。それは金一族による独裁体制の維持と金一族の面子を守ること、つまり「北朝鮮版国体の護持」です。金一族にとって「国民の生命と財産」を守ることは二の次。
それが分かっていれば北朝鮮が今のところ日本を攻撃するわけがないことも分かります。日米安保がある以上、日本を攻撃することはアメリカによる報復攻撃を招きます。それは金一族による独裁体制の崩壊を意味するわけで、「北朝鮮版国体の護持」から考えてありえません。*1
アメリカの軍事力は北朝鮮に比べて圧倒的。そこから考えれば北朝鮮から先に日米を攻撃することは「北朝鮮版国体の護持」が脅かされたときに限ります。現状は北朝鮮が弾道弾で日米を脅かしているというより、北朝鮮アメリカの圧倒的軍事力に脅えているという方が正しいでしょう。そして脅えているからこそ北朝鮮は牙をむいて吼えると。
現実的に考えれば北朝鮮を滅ぼす可能性がある国はアメリカのみ。それゆえ北朝鮮アメリカによる体制の保証を欲し、そのために米朝二国間交渉を望むというわけです。
そういう北朝鮮の論理が分かっていれば北朝鮮に対する飴と鞭は明快です。飴は「国体の護持」の保証(と経済援助)。鞭は金一族の排除。
北朝鮮に有効な飴と鞭は分かりきっているのに、北朝鮮が今のまま(適度の「脅威」)の方が何かと都合がいいからその飴と鞭を使わず*2米朝二国間交渉にも応じないというのが今のアメリカ。*3
飴と鞭を使い分けて北朝鮮をコントロールしソフトランディングに向けた体制作りを行なうということは今のアメリカには期待できません。

*1:日米安保が機能しないという確信があるなら別ですが、それでも日本を攻撃して得るものがない以上攻撃してくることはありません

*2:核開発など鞭を振りかざして脅せる材料はあるのにアメリカはしません

*3:二国間交渉には応じないが6カ国協議であれば応じるというのがブッシュ政権のスタンス