模型オタが非オタの彼女に模型世界を軽く紹介するための10模型メーカー
アンポンタンが腐女子の彼女に帝国海軍艦船を軽く紹介するための10隻 - 模型とかキャラ弁とか歴史とかのブクマが全然伸びなかったのに懲りずに、今頃またアニオタが非オタの彼女にアニメ世界を軽く紹介するための10本に乗ってみる。
まあ、どのくらいの数の模型オタがそういう彼女をゲットできるかは別にして、「モデラーではまったくないんだが、しかし自分の模型趣味を肯定的に黙認してくれて、 その上で全く知らない模型の世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってる」ような、ヲタの都合のいい妄想の中に出てきそうな彼女に、模型のことを紹介するために見せるべき10模型メーカーを選んでみたいのだけれど。
(要は「脱オタクファッションガイド」の正反対版だな。彼女にアニメを布教するのではなく相互のコミュニケーションの入口として)
あくまで「入口」なので、技術的に過大な負担を伴うバキュームキット、レジンキットのメーカーは避けたい。
できればインジェクション、せめて簡易インジェクションのメーカーにとどめたい。
あと、いくら模型メーカー的に基礎といっても古びを感じすぎるものは避けたい。
映画好きが『カリガリ博士』は外せないと言っても、それはちょっとさすがになあ、と思う。
そういう感じ。
彼女の設定はという条件で。
まずは俺的に。出した順番は実質的には意味がない。
タミヤ(日本)
まあ、いきなりここかよとも思うけれど、「タミヤ会長」(俊作タン)を濃縮しきっていて、「タミヤ以外」を決定づけたという点では外せないんだよなあ。パーツ数も控えめだし。
ただ、ここでオタトーク全開にしてしまうと、彼女との関係が崩れるかも。
この情報過多な模型メーカーについて、どれだけさらりと、嫌味にならず濃すぎず、それでいて必要最小限の情報を彼女に伝えられるかということは、オタ側の「真のコミュニケーション能力」の試験としてはいいタスクだろうと思う。ファインモールド(日本)、ピットロード(日本)
アレって典型的な「オタクが考える一般人にも知られているだろう模型メーカー(そうオタクが思い込んでいるだけ。実際は全然知られていない)」そのものという意見には半分賛成・半分反対なのだけれど、それを彼女にぶつけて確かめてみるには一番よさそうな素材なんじゃないのかな。
「模型オタとしてはこの二つは“ニッチ戦略”としていいと思うんだけど、率直に言ってどう?」って。ICM(ウクライナ)
ある種の模型オタが持ってる原型の志の高さへの憧憬と、オタ的な考証へのこだわりを彼女に紹介するという意味ではいいなと思うのと、それに加えていかにも東欧模型メーカーな
「童貞的なださカッコよさ」を体現する設計に追いついていない金型技術
「童貞的に好みな難度」を体現するパーツの合わせ
の二つをはじめとして、苦行好きのする模型を世界にちりばめているのが、紹介してみたい理由。ツクダホビー(日本)
たぶんこれを見た彼女は「ルパンIII世だよね」と言ってくれるかもしれないが、そこが狙いといえば狙い。
この系譜の宮崎アニメ模型が紅の豚後続いていないこと、これが逸般人では大人気になったこと、バンダイなら多色成型キットになって、インスマウス顔半魚人ポニョがキット化されてもおかしくはなさそうなのに、ぬいぐるみでしかこういうのがつくられないこと、なんかを非オタ彼女と話してみたいかな、という妄想的願望。バンダイ(日本)
「やっぱり模型は子供のためのものだよね」という話になったときに、そこで選ぶのは童友社でもいいのだけれど、そこでこっちを選んだのは、1/60スケールにかけるバンダイの思いが好きだから。
断腸の思いで削りに削ってそれでも1/60、っていう尺が、どうしても俺の心をつかんでしまうのは、その「独自性」ということへの諦めきれなさがいかにもオタ的だなあと思えてしまうから。
1/60の大きさを俺自身は冗長とは思わないし、もう削れないだろうとは思うけれど、一方でこれがタミヤやハセガワだったらきっちり1/72スケールにしてしまうだろうとも思う。
なのに、各所に頭下げて迷惑かけて1/60を作ってしまう、というあたり、どうしても「自分の物語を形作ってきたものが捨てられないオタク」としては、たとえバンダイがそういうキャラでなかったとしても、親近感を禁じ得ない。PG1/60自体の高評価と合わせて、そんなことを彼女に話してみたい。モノグラム(アメリカ)
今の若年層でモノグラム見たことのある人はそんなにいないと思うのだけれど、だから紹介してみたい。
タミヤよりも前の段階で、縮尺模型の哲学とかギミック技法とかはこの模型メーカーで頂点に達していたとも言えて、こういうクオリティの製品がインジェクションでこの時代に発売されていたんだよ、というのは、別に俺自身がなんらそこに貢献してなくとも、なんとなく模型好きとしては不思議に誇らしいし、いわゆる国産キットでしか模型を知らない彼女には見せてあげたいなと思う。ドイツレベル(ドイツ)
ドイツレベルの「価格」あるいは「造形」をオタとして教えたい、というお節介焼きから見せる、ということではなくて。
「終わらないバクチを毎日生きる」的な感覚がオタには共通してあるのかなということを感じていて、だからこそドイツレベル版Su-25の中身はツクダホビーOEM*1以外ではあり得なかったとも思う。
「ハズレに落胆した日常を生きる」というオタの感覚が今日さらに強まっているとするなら、その「オタクの気分」の源は高価格OEMにあったんじゃないか、という、そんな理屈はかけらも口にせずに、単純に楽しんでもらえるかどうかを見てみたい。ハイプレーンズ(オーストラリア)
これは地雷だよなあ。地雷が火を噴くか否か、そこのスリルを味わってみたいなあ。
こういうソーダのように鮮やかな水色のパーツをこういう溶け爛れたようなかたちでキット化して、それが非オタに受け入れられるか気持ち悪さを誘発するか、というのを見てみたい。
*1:超ハズレ